個を保つためにどうあるべきか~映画『NEW GROUP』感想

映画『NEW GROUP』を観てきました! 前日に「ピエール瀧が悪者の組体操ホラーを観てくるね」と友人に言ったら「それってホラー? コメディじゃなくて?」と返され、「いや、ホラーなんだよ!」と主張したものの実際に観るとかなりコメディではありました。恐怖と笑いは紙一重ではありますが、それはそれとして「集団VS個」というありがちなテーマに現代批評を乗せたこの作品はものすごく面白かったです。笑えるし切ないし怖いし、最高でした!

では、以下にレビューを書きます。

あらすじ

これは愛(I)と優(YOU)の物語。私とあなたの物語でもある。
愛は引っ込み思案な普通の女子高生。家族に問題を抱えている。ある日、転校生の優がやってきた。海外帰りの優は日本の学校の集団公団(ママ)に馴染めない。愛は優のことが気になるが、自分をなかなか出せない愛に優はいら立ちを感じていた。
そんなある日、校庭で一人の生徒が四つん這いになり、動かなくなった。教師や友人が止めようとしても動かない。そして、時間を追うごとにその生徒の横に同じように四つん這いになる生徒が並び始めた。不思議なことに学校も人間ピラミッドを“良いもの”として参加を勧めている。そして、積み重なった生徒たちはみな一様に穏やかな表情を浮かべている。生徒たちはどんどん集まり、集まってくる生徒たちはものも言わず従っていく。愛もなぜか、朦朧となり、ピラミッドに加わりそうになる。
これは、その後地域全体を巻き込む、集団怪現象の始まりに過ぎなかった−−−。
公式サイトより(https://newgroup-movie.jp/

改めて読み返すと「穏やかな表情……浮かべてたか?」と思いますが、書いてあるならそうなんでしょう。集団のなかで傀儡のようになっている人々はたしかに穏やかな心持ちだったかもしれません。そして、「私とあなたの物語」という点は現代批評であり、ラストシーンに繋がる文言でもあります。

本作の感想

ピエール瀧演じる校長先生の胡散臭さや話の通じなさが絶妙に嫌で良かったです。そしてなにより愛の家族の不気味さ。家に帰ると三つの〇〇があったシーンは肝が冷えました。よく考えればあそこは集団行動の洗脳とは関係が無いわけで、作中で最も怖かった瞬間かもしれないですね。

作品のテーマが集団VS個ということで、作中では組体操に限らず日常生活のなかにも個を集団に巻き取ろうとする引力のようなものが働いています。それはもちろん怪異が過ぎ去ったあとも続いていくわけで、今作は「集団に抗う個」ではなく「いかにして集団のなかで個を保つか」が描かれていました。政治家の台詞など現代批評的なものも多く、ホラー業界って結構リベラルなのかなあ、とも思ったり。

ちなみに、今年からホラーにハマった身としては『VOID』のオマージュらしきシーンを見てホラー好きの輪に入れたようでうれしかったです。それもまた「集団」がもたらす安心感に違いないのですが……

ホラー映画ではありますが笑えるシーンや台詞も多く、ジャンプスケアもゴア表現もほとんど無いので多くの方にオススメできる作品だと思いました。たやすく集団に巻き取られないよう、疑いの目を閉じずに生きていきましょう。

映画ホラー

Posted by ram_admin