最後の最後まで騙された!~映画『放送禁止 ぼくの3人の妻』解釈・ネタバレ感想

※この記事は2026年4月24日にnoteに投稿したものと同一の内容です。
※本記事は映画『放送禁止 ぼくの3人の妻』のネタバレを含みます

滑り込みで映画『放送禁止 ぼくの3人の妻』観てきました!

今年からモキュメンタリーホラーにハマりTXQ FICTIONやら放送禁止シリーズやらをひたすら観まして、今作も非常に楽しみにしていました。ビックリするシーンとかもありそうだから映画館で観るのは不安でしたが、そこまで怖い演出は無かったのでよかったです。まあ「放送禁止」はヒトコワ系なのでガチな心霊やジャンプスケアは少ないと踏んでおりました。とはいえトランス状態になった3人の嗚咽のシーンや麻莉奈の「これ以上呪わないでください」のシーンはゾワゾワしましたが。

というわけで、以下に自分なりの解釈とレビューを書いていきます!

本作のあらすじ

『某テレビ局で放送されるドキュメンタリー番組として制作された映像。
放送日は決まり、撮影も終わっていたが、ある事情により、放送されることはなかった』
あるドキュメンタリー映像──
薄暗い場所。
揺れる蝋燭の炎。
祝詞を高らかに読み上げる霊媒師。
祈祷を受ける3人の女性。
彼女らは、1人の夫を共有する一夫多妻制の家で暮らす妻たちだった。

トランス状態に陥っていた女性たちが言う。
「私は夫を殺しました」
「私は夫を愛していた。だから殺したの」
「夫が憎かった。だから殺しました」

3人の妻のなかで、誰が彼女たちの夫を殺したというのか。
その答えは、放送禁止となった1年前のドキュメンタリー映像に隠されていた。

公式サイトより(https://housoukinshi.com/

登場人物はWEBデザイナーの紘二と"妻"として同居している由子、麻莉奈、楓の4人。豪邸で幸せそうな生活をしていますが、紘二が「ギターの音が聴こえる……」と心霊現象を認識したのをきっかけに4人の関係にだんだんと綻びが生まれます。そして行きつく先は……というのがドキュメンタリー映像の内容でした。

本作の私の解釈(ネタバレ注意)

由子、麻莉奈、楓の3人はこれまでも同じ家で様々な男性と同居していた。しかし、毎回何かしらのトラブルが起きて誰かが夫を殺してしまう。そしてその度に夫の死を隠蔽、遺品を最上階の部屋に隠して再び新たな男性を迎えて同居していた。

本作で紘二は死亡していない。兄の死の秘密を探るために3人と生活し、心霊現象はカマをかけるための演技・捏造だった。霊媒師によって罪を自白した3人の映像を収め、紘二は復讐を成し遂げた。

本作の感想

紘二も殺されたのではないかという解釈もあるのですが、個人的にはこの方が収まりがいいかな、と思いました。

正直、ポリアモリーにそこそこ詳しい身としては開始直後から「この生活って簡単に綻びませんか……?」と思っていたので中盤からの展開はさもありなんという感じでした。由子1人が経済的に生活を支えており、精神面の柱である紘二は「仲良くしよう」しか言わない。麻莉奈が楓に対して依存しているように見えるし楓は言いたいことを言えない。そりゃ綻びます、こんな関係性。

と、思っていたらそもそも由子は同居に葛藤があるし麻莉奈は独占欲が強いし楓は紘二ではなく麻莉奈が好きだった!? このどんでん返しがすごかった。さらに、中盤では「3人と向き合わず心霊現象のせいにしている的外れな夫」に見えていた紘二が最後の最後で「兄の死の秘密を探るために3人の前で演技していた復讐者」になったのには舌を巻きました。「放送禁止」シリーズ恒例の作中で違和感を抱くような演出も、「4人の生活の綻び」を描くものと「殺人者である3人の秘密」を描くものとが混ぜ合わさることで終盤まで視聴者をけむに巻いていたと思います。私もすっかり騙されました。なにより紘二が殺されるものだと最後まで信じていたので、映画が始まる前から騙されていたんだなあ、と……

「放送禁止」シリーズ自体はTVerで1~3を観たのみですが、映画版だとここまで大掛かりな仕掛けができるんだなあと感動しました。いろいろ整理したうえでもう一度観たい作品です!

ツッコミどころや気になった点

殺されかけたのちに関係性を平定できる紘二すごすぎる。というか、ちゃんと対話すれば幸せな関係を維持できるのなら誰かを殺す前にそうしなさいよ、3人とも……。特に楓。麻莉奈が好きでマゾだから厳しくしてもらっているというのは由子に共有しておきなさいよ! って思いました。4人生活で隠れてプレイするなよ、と。麻莉奈も由子に詰められて泣くなら事情を話せばいいじゃん……そう考えると、楓が麻莉奈に頼んでるというより麻莉奈がイライラするように仕向けてるって設定の方が納得感あるかなあ、と思いました。

そして紘二。復讐のためとはいえ、ハイペースで3人とセックスし続ける生活はしんどかっただろうなあ。あるいは本当に3人のことを愛していたのか。いや、結末的にそれは無いか。警察は何してんだって言うのはこのシリーズには野暮だよね。

最後の、これまでの男性と3人との写真が映るところはもっと鮮明に見たかったなあ、と。特にギター持っている人とかは核心に迫る情報だと思うのでハッキリ見たかったなあ、と思いました。もう一度観る機会があったら注視したいと思います。

総評

正直、観る前は本作がポリアモリーに対する偏見に繋がるのではないかと不安に思っていました。しかし、対話を経ることで一応は円満になる可能性が描かれたというのはうれしかったです。

「放送禁止」シリーズとしては映像に映りこむ麻莉奈などゾクッとするシーンが豊富で満足しました。謎解きモキュメンタリーでありつつしっかりとホラーでもあり。そして登場人物への印象が二転三転する仕組みなど、最後まで飽きずにじっくりスクリーンを見つめることができました。非常に面白かったです! 今後も様々なモキュメンタリーホラーに注目していきたいと思います!


ぜひ以下の動画もご覧いただけると幸いです!

【 #ラム研 】モキュメンタリーホラーを語りたい!w/パンケイク・ホイップクリーム様